あいりん地区改革/子育て世代を呼び込む/大阪市、スーパー校設置も描く 2011.2.6 建設通信新聞

あいりん地区改革/子育て世代を呼び込む/大阪市、スーパー校設置も描く 大阪市市民局は、橋下徹市長が日雇い労働者の街・あいりん地区(西成区)に子育て世代を呼び込もうと提唱している「西成特区構想」の実現に向けて、2012年度に調査を始める。同局は同年度予算で調査費300万円を要求しており、どういったプロジェクトを実施するかを見極める考え。構想実現には小・中・高一貫校の設置や住宅建て替えを促進する補助制度の創設といったハード面の施策も例示されており、調査の中で絞り込んでいく。
 西成特区構想は、あいりん地区周辺に転入する子育て世代に対し税金を一定期間免除するなど優遇措置を講じることで活性化を図ろうとするもの。西成区生活保護率や単身高齢世帯率が突出して高いため、橋下市長は特区構想を解決の切り札としたい考えだ。
 地元の西成区役所は、プロジェクトを選定するための調査業務を進めるとともに、市の部局を横断したプロジェクトチームを設置して検討に当たる考え。近く市がまとめる12年度暫定予算案に調査費を計上、これが承認されれば、12年度早期に業務委託する見込みだ。
 西成区が橋下市長の方針や市の施策、これまでの課題解決への取り組みを踏まえて想定しているアイデアには、小・中・高一貫のスーパー校の設置、大学・職業訓練校の誘致、市有地の活用によるマンション建設といったハード面での対応も盛り込まれている。調査では、想定したアイデアだけでなく、プロジェクトチームなどで挙がった意見も含め、実現可能性などを精査する。
 7月にまとめる本格予算から順次事業化したい考えだ。

 『建設通信新聞』って何だろう*1。まあ業界紙なんだろうけど……というのは置いといて、西成特区構想云々についても一度整理しておこう。

 市民局というのはどういう部署なんだろう*2。調査をするような部署なのか?300万の調査費でどこにどんな調査をさせるのだろう?

 小・中・高一貫校の設置というのは全く新しい学校を新設するつもりかな?公立高校である地域にだけそんな特異なものを設置すると地域の子どもにとっては不利益になる可能性もあるのではないだろうか。学区を取っ払えば選択の一つということになるが、無制限に受け入れるわけにはいかないだろうし、定員割れの問題だってある。統廃合を繰り返せば自然と理想的な学校が出来上がる……なんておめでたい頭でもないだろう。無計画な殿様商売みたい。橋下政治を見ているとこれまでの大阪市以上に意味不明なことをやらかしそうに見えるのだが……。

 住宅建て替えを促進する補助制度はどう取ればいいのだろう。分かりやすく利権が絡んでいそうな話だ。これらは「あいりん地区」という縛りのもとに行われるのだろうか?空き家が目立つのはあいりん地区周辺というよりもう少し西側に縦に広がるエリアではなかったか。数字だけ見て思い付きで計画案出したんではないかという疑いが首をもたげてくる。何を優先してものを考えているかということなんだろうけど。

 子育て世代優遇措置による活性化、生活保護率・単身高齢化率と並べると特に数字から割り出したという感じがする。単にパーセンテージを下げれば解決でもなかろうに。この辺り首長として望ましくない発想と言わざるを得ない。

 子育て世代優遇措置の方は特区構想と絡めて書かれている。西成特区構想の中でも西成区全体を対象とする施策とあいりん地区とその周辺に特化して行なわれる施策とに分かれるのだろうか?

 西成区役所も市民局のものとは別に何か調査をするのか?「プロジェクトを選定する」とはどういう意味だろう。複数の思い付き的な案があって、その中から現実的なものを絞るということか。現時点でいろいろ報道には乗っているがこれらは目くらましで最終的に残る「現実的な案」は単なるスラムクリアランスだけで「西成特区構想」は最初から名前負けのつもりなのかもしれない。大体、西成区において解決すべき課題が何か、それは何を見て導き出した課題か、出された解決策は妥当かの3点を精査する必要がある(がこれまで通りだとどうせまた橋下が煽ってうやむやにして裁決してしまいそう)。

 大学・職業訓練学校の誘致?市有地を活用したマンション建設とは?公営住宅を作るという意味ではなさそうだ。UR住宅?

 「実現可能性などを精査する」というのが肝かもしれないが、これだけ金が動く後戻りできないプランを進めるとなると調査業務の委託先はシンクタンクというよりコンサルみたいなゴリゴリ経済合理性を突き詰める機関に任せるのかな?調査業務を委託される機関にも注目しておいた方が良さそうだ。

*1:会社概要によれば「弊紙は1950年3月、建設産業界の全国総合専門紙として創刊いたしました。爾来、日本経済社会の発展と変革の中で、迅速で的確な報道、連載キャンペーンや企画特集などを通して建設産業界全般の躍進と興隆に寄与して参りました。その取り組みを拡大、加速させ、従来にも増して与えられた使命を全うすべく役職員一同、建設業界のために活動して参ります」とのこと。建設ゼネコン、設備会社、きんでんなどが株主。どこのゼネコンが何の工事を落としたとか書いてあってなかなか面白そう。

*2:大阪市のサイト(2011.2.6閲覧)によれば「区政・市民活動推進・安全なまちづくりをはじめ、雇用・勤労施策、男女共同参画、消費生活、人権に関することなど、市民のみなさんの生活に係わるさまざまな業務を行っています」ということだが……あまりピンとこないな。市政改革室、計画調整局、都市整備局など関係しそうな部局はいくつかあるが「市民局」という名前の部署の仕事と言われると違和感がある。戸籍謄本や住民票を扱う部署の仕事と言われると。