はじめに

  • きちんと自炊をするようになったきっかけ

この一ヶ月くらいできちんと自炊をするようになりました。

そのきっかけは、同居人が妊娠していて、ダイエット(食事制限)をしなければならないということでした。


彼女が通っている助産院によると、牛肉、豚肉は禁止で、鶏肉も胸肉やささみなどの(おそらく脂肪分の少ない)部位でなければならないそうです。パンや麺類、お好み焼きなどの粉物も禁止です。また、とにかく薄味で、カロリー抑えなければなりません。もちろん、外食は禁止、もし外食する場合は高級な日本料理に限るのだと言います。

このような制限下において、毎日食事を楽しもうと思ったら、ある程度意識的に自炊をする必要があります。彼女は当初、まだ産休に入っていませんでしたし、残業も多かったので夕食は僕が作ることにしていました。もともと料理ができるようになりたいと思っていたし、いい機会だと思って取り組むようになりました。

単に「節約のため」ではここまできちんとやろうという気にはならなかったでしょう。

ところで、ここでの「ここまできちんとやる」とは、料理の本を見て、レシピを参照しながら料理をするという意味です。以前では、自炊をするとしても適当にやっていました。これだと、数日は続いてもいずれレパートリーに限界が来て、結局外食生活に逆戻りということになっていました。しかし、今回は外食に頼るわけにはいかず、また、夕食はそれなりにおいしいものを食べたいという欲求もありました。


  • 「有り合わせの材料で作る」を拒む二つの壁

こうして自炊生活が定着してきたものの、まだ自分が「料理ができるようになった」という感じはしません。


レシピを探し、レシピに沿って材料を買い出しして、作ることはできます。しかし、「有り合わせの材料でぱぱっと作れてしまう」という領域には至っていません。いえ、これは程度の問題で、有り合わせの材料で作れてしまう場合もあります。「有り合わせの材料で作る」ことには二つの壁が考えられます。

一つには、材料があっても何を作ればいいかわからない場合。もう一つは、そもそも「有り合わせの材料」がない場合です。この二つが絡み合って、「有り合わせの材料でぱぱっと作る」ことを拒みます。レシピを見て、それから買い出しに行くという方法をとると、それ以外のものは買いません。「安いものを見かけたら買っておく」ということはとてつもない離れ業のように感じられます。

また、レシピを見てから買い出しに行くという方法はとにかく効率が悪いということもあります。毎日スーパーに行かねばならず、少しずつ余る材料が雑多にたまっていって腐るばかりです。

もちろん、この「少しずつ余る雑多な材料」こそが「有り合わせのもの」であり、これらを使って柔軟に料理を作ることができれば問題はないわけです。

  • 明らかになることはまだまだある

と、ここまで書いたところで、既に僕はわりと「有り合わせのものでぱぱっと作る」ことができるようになっているのではないかという気がしてきました。

残念なことに、「有り合わせのものでぱぱっと作る」ことができるようになる過程とそのメカニズムを明らかにするためのデータをリアルタイムで収集する機会は、永遠に失われてしまったのです。

『日雇い労働者のつくりかた』でもそうでしたが、僕は「自分がなぜできないのか」「なぜできるようになるのか」が気になって気になって仕方ない人間です。僕がトンマなだけなのか、やり方が間違っているのか、そもそも資質がないのか、あるいはそれ以外の外的な要因があるのかを明らかにしたいという欲求を抱きます。

持続的な自炊というのは、この欲求をかき立てるだけの「難題」の一つであったと言えます。本当は、最初から記録を付けておこうかとも思ったのですが、記録を付けるということは案外手間のかかることなので、実行には移しませんでした。

「では、なぜ今更やりはじめるのか」という疑問はもっともだと思います。もうできるようになっているなら解明する必要はありません。しかし、まだまだ明らかになることはたくさんあるのではないかと思われます。まだまだできるようになることはあります。例えば、調味料についてです。

レシピに従って調味料を合わせながら、僕は「なぜこれとこれを混ぜるのだろう?」「この料理ではこれを入れないのはなぜなのだろう?」などと疑問に思います。そうすると一番おいしいものができるからなのでしょうが、おいしさの構成要素それぞれの持つ意味はいったいなんなんだろうと不思議に思います。

また、「安いものを見かけたら買っておく」というテクニックも僕はまだ身につけていません。これは単に料理をおいしく作ることとはまた別の問題です。

そういったわけで、持続的な自炊によって経験的に何が見いだされるのか、なぜそれが見いだされるのかを明らかにする読みもをのスタートさせたいと思います。

  • 今日の料理

それから、おいしいもの(おいしそうなもの)ができたら、ちょっと他人に見せびらかしたいという気持ちもあります。

そこで、その日の作った料理の写真を公開しつつ、何か気づいたことがあったら書き留めておくというスタイルをとります。

今日作ったのは、厚揚げ豆腐と長ネギ、もやし、しょうが、唐辛子を醤油小さじ一杯でいため、最後にみそ、酒、しょうゆ、砂糖を混ぜたもので合えたものがメインです。みそ汁は油揚げ、わかめ、お麩。切り干し大根は作り置きしているものです(乾きものはカロリーが低くて栄養もあるということで助産院で勧められているものです。これまでは作ったことはありませんでした)。右端のはチーズ、トマト、紫たまねぎ、チーズ、ピクルスそれぞれを刻んだやつにレーズンが入っています。これは彼女が作りました。彼女の「得意料理」のようです。

厚揚げ豆腐は彼女が数日前に買ってきたおつとめ品で、賞味期限が今日までだったので、とりあえずこれを使った料理にしようと考えました。


また、もやしも彼女が買っていて、これも賞味期限が不安だったので、これも使わなければなあと考えていました。


先日、ジャーマンポテトを作った時に、長ネギを斜め切りしていっしょに炒めたらおいしかったので、余っている長ネギも炒め物に使えるだろうと考えていて、厚揚げ豆腐を使った料理を本で探したらちょうど長ネギを使うようにあったので気分がよかったです。


  • 今日の買い物

近所のスーパーで買い物をしている時点では何を作るか決めていなくて、しかしまあ炒め物だろうなあと考えていました。


最近、お金を使い過ぎなので、あまり高いものは買いたくありませんでした。そういえば、レシートをみると、夕食に使った材料は入っていません。


おつとめ品の納豆ととうもろこし、切り干し大根、白だし、バナナ、筍の水煮のパックを買っています。

先日の夕飯で、レシピにある白だしが分からず、「白だしって何だろう。ただのだし汁でいいや」と料理して、あとで白だしという調味料の存在を知りました。また使う機会があるだろうと考え、購入しました。

切り干し大根は今のが切れたら作るためにストックとして。

バナナは食欲がない時のための朝食用。筍は真空パックだし、日持ちもするのでとりあえず買ってみました。納豆は冷凍します。とうもろこしは明日にでも、醤油を塗ってトースターで焼いて食べようかと考えています。