掘りコタツの家


10月28日に行った家財処分の現場の仕上げ。

ちょっと書くタイミングを逸してしまったので手短に書く。

古い家だった。2階建てで、1階は手前から6畳間、8畳間、10畳間、縁側があって、トイレと物置きが灯籠が置かれた小さな庭を挟んでいる。

これらの向かって右手に手前から玄関の土間、台所、廊下沿いに暗室(カメラをやっていたらしい)、風呂、洗面所がへばりついている。廊下は縁側と繋がり、L字型に囲う。

部屋の左手には押し入れ、階段(階段の下に押し入れ)、押し入れ、そして床の間がある。

6畳間の押し入れは奥行きがない。まるで作り付けの本棚のようだ。

金光教の信徒さんだったらしく、10畳間の床の間には祭壇が設けられていた。床の間に、大きな箱のような祭壇のセットをはめ込んだようになっていたのを主任が豪快に外した。

書画の先生だったらしく、大型の絵やら、丸められた半紙(大きいものでも半紙というのだろうか?)が大量にあった。これらは娘さんが持ち帰られるそうだ(……ていうか、確か本人は98歳でご存命とか)。ネットでこの人のペンネーム?を検索したら何かの出展者の中に名前があるにはあったが別に有名人というほどではなさそうだ。よその業界のことはわからんが。

何号なのか知らないが、畳一枚より大きい絵があった。山道を農民が一人歩いている絵だ。でかいので結構インパクトがある。写真と違って、絵は「たまたまそういうモノが写り込む」ということはない。こういう構図の山道と、一人の農民という設定を選んで描いた筆者の意図が生々しく表れているように思えた。何のロマンチシズムか知らんが、自分がこの絵のモデルとして想定されたような農民だったら嫌だなあと思った*1

この家の素敵なところは、6畳間の窓際にあった掘りコタツだ。底に電気コタツを入れて網を張ってある。僕が見た時には穴はむき出しだったが、この上にテーブルと布団を置いて足を突っ込むのだ。穴のサイズから見て一人用のコタツだ。

作業中にやけに低い位置にある蛍光灯に頭をぶつけた。ちょうどコタツの上辺りに下げてある。ここはきっとお母さんの作業スペースだったのだ。人が尋ねてきたら窓越しに話が出来る。

玄関の土間が広い。3畳くらいか。6畳間とは全面のガラス戸で通じている。お母さんの作業スペースと合わせて、人が生活するための家として作られている感じがして、この家は面白かった。

*1:関係ないことばかり考えているな。