距離をつかみかねる

久しぶりにオコソトくんといっしょだった。

文化の2階からの家財処分。1階にドアがあって細くて急な階段が延びているタイプだ。社長と主任とホモヨロさんが段ボール詰め袋詰めをしてオコソトくんが階段を降ろして、僕が一番下で集積場所まで運ぶ。

オコソトくんが階段の下の土間にどんどん荷物を置いていく。次第におっつかなくなって荷物がたまっていく。ちょっと気を利かせてもう1、2歩踏み出してドアの外まで出してくれればいいのにって思う。そう言えばいいんだがなんか言えない。本当は言わないといけないのだけど、僕が言うのもいやらしいかなと思ってしまう。それで、慌ただしかったこともあって言いそびれてしまった。結局ガチャーンと音がして、ああ、食器が入った段ボールを適当に積み上げようとしてひっくり返したなと思う。

ひっくり返って割れてしまった食器を集めながらそこで初めて玄関の外まで出してくれるように頼む。頼んだ。頼んだのだが最後までそうしてくれなかった。

はじめの頃ってこんなもんだったかなあと疑問に思うやら腹が立つやらで落ち着かなかった。僕がフォローする立場の人間として配慮が足らんのだろうかとかも思う。

飯場に行って、日雇い労働をしてからバイトでも自分で気を利かせるということができるようになった。意識的になった。しかし、他の人たちとの信頼が築けたのは去年の夏の連日仕事で連日一緒に働いたときだったように思う。お互いたまに一緒になる程度だと距離がつかみづらい。少なくとも僕は距離をつかみかねている。僕が距離をつかみかねるのはそういうところに原因があると思う。

だから一度忙しい時期を一緒に乗り切らないと難しいのかなあと思う。

(しかし、誰に言われたわけでもなく誰に頼まれたでも期待されたでもなくこういうことを考えていると全部が自分の妄想で僕は180度はずしたことを考えとるんではないだろうかという気分になる)