こないだ近所のマンションの前に黒いチョイノリが停めてあるのを見つけた。シートが縦に破れていた。カッターか何かでシートを切り裂かれたのだ。この黒いチョイノリの持ち主がかわいそうで僕は胸が痛かった。もし僕のチョイノリのシートが裂かれていたら僕はキレる。しかしキレても犯人はどこの誰やらわからないのだ。何の、何の権利があってこんなひどいことするんだ、あう、あううー(泣)。
という感じでわがことのように哀しくなる。自分の見ていないところで自分の愛車が傷物にされるなんて考えるだけで血圧が上がる。そういえば「自分の見ていないところで自分の愛車が傷物にされる」事件がわが身にも起こったことがある。
その日、いつものようにチョイノリでもってドライブに出かけようとしたら、後輪のブレーキが壊れていた。ブレーキがスカスカになっていた。
うちのマンションは駐輪場が狭いので、どうしても何台か歩道にはみ出して駐輪されることになる。それに近所からクレームがついたらしく、「必ず駐輪場内に置け歩道に置くな」というプラカードが設置された日のことだった。
この前日、僕は歩道にはみ出して駐車していた。「とめにくいでしょうが駐輪場内にとめてくれるようお願いします。管理人」みたいなことが書かれた紙がシートに貼ってあった。おそらく管理人が移動させたのだろう。そしてその際に管理人が壊したのだ。
ワイヤーが切れたのだと思った。どんな無茶な移動をすればワイヤーが切れるのだ。他人に愛車を乱暴に扱われたということに腹が立った。
修理代はいくらかかるのだろう、こういう場合保険はきくのだろうか、今日中に直してもらえるだろうかといったことをぐるぐる考えながら、お金をおろしバイク屋へ行った。
故障の原因はワイヤーが切れたためではなかった。ワイヤーの末端にブレーキの閉め具合を調節するための金具がついている。その金具を挟んでいる部分が広がって金具が外れていたためブレーキがスカスカになっていたのだ。修理はその広がってしまった部分を閉じて、金具を固定するだけでよかった。よく見れば故障原因はわかったはずだ。もっと自分でいじる姿勢を持たねばと思った。工賃は取らないでくれた。ほっとした。すぐ直ってよかった。