無駄話・長話・暇話


仕事が終わり事務所に戻りバイト代を手渡されたあとすぐには帰りがたい変な雰囲気になる。次のバイトの集合時間や仕事内容の伝達のためであることもあるが、なんか意味の分からんおしゃべりに巻き込まれて立ち去りがたくなる。

今日もバイトが終わり事務所に戻りバイト代をもらったあと15分くらい立ち去れなかった。ホモヨロさんも立たない。ホモヨロさんが帰ると言い出してくれればいっしょに出るのになあと思う。バイト同士お互いそういう目配せをすることがよくある。しかし、僕がおいとまを告げてもホモヨロさんは帰らなかった。ホモヨロさんはまだ仕事があったのだろうか。

ホモヨロさんは常雇いで来たはずなのだが、6月に久しぶりに行ったら僕らと同じバイト的身分になっていた。本職は別に持って、空き時間に来るという形になったようだ。ホモヨロさんが言うには給料が驚くほど安いためだそうだ。主任の給料もめちゃくちゃ安いらしい。この時に常雇い期間の話を聞いた。

5月は仕事が全然なくて、僕は3日しか呼ばれなかった*1。もう暇で暇で仕方なかったようで、ホモヨロさんは「飼い殺し」とまで言っていた。「最初の頃は車洗ったりしとればよかったけど、次の日はやることあらへん。事務所でずーっと座っとるだけや」そして「飼い殺しやで」というのが話の順序だ。

「飼い殺し」はオーバーな*2表現だが、何もすることがないのにそこにいなければならないというのはつらい。一日中道ばたに立っているだけで10000円もらえるという仕事があったとしても僕はやりたくない*3

実はこの仕事は待ち時間が長い。ゴミ出しをしたあと収集の車が来るまで1時間以上待っているだけという苦行もたまにある。これをマクロに見れば「事務所で座っているだけ」も構造的には同じだ。

社長のおしゃべりの唐突さ*4に戸惑うことがある。真意を掴みかねて、どう反応すべきかわからないのだ。しかし、この背景に「待ち時間が長い」つまり「暇つぶしをしなければならない」というこの仕事の日常的特性を考えてみると納得できないでもない。

バイト代をもらったあとに帰りにくいのはそこで「社長のご訓示を無下にして帰るわけにもいかんなあ」と思うからだ。しかし、「ご訓示」でもないなあというおかしな話をすることもあって、じゃあ何で僕はここにいるんだろうと思う。

社長がしゃべるのは実はできるだけ暇つぶしに付き合って欲しいというだけの話だったのだ。ご訓示というより単なる暇つぶしのキャラクターだったのだ。ばかばかしい。今度からさっさと帰ろう。

*1:大体5月6月は仕事が少ない時期らしい。

*2:というが意味が違う。

*3:10万円だったらやる。

*4:何が唐突かと言えば、タイミングや話題などが唐突なのである。